肉桂(シナモン)を使ったお菓子といえば『八百源(やおげん)』

戦国時代、堺は『東洋のベニス』と呼ばれるほど発達した都市で、ヨーロッパの"世界地図"

にも掲載されるほど知られていました。

その繁栄のもととなったのは、室町時代に始まった日明貿易と、ポルトガル船が流れ着いて

以降の南蛮貿易。アジアやヨーロッパとの貿易の拠点として、堺には様々な新しい物や

珍しい物がもたらされました。そしてそれらをもとに、さらに堺固有の物や文化も生まれて

いったのです。

 

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▲『肉桂餅』と『南蛮小判』(もなか)は優良観光みやげ品に登録されています

 

 

アイデア光る堺の大商人

伝統受け継ぐ同店は創業300年以上

 

その頃活躍した貿易商の一人に『八百屋宗源(やおやそうげん)』という人がいました。

彼は中国、フィリピンなどから何百種もの香料、香木を輸入販売していました。そして、

その中でも特に珍重されていた品に肉桂(にっき=シナモン)がありました。

ただシナモンは、香りは良いものの辛味・苦味が強くて食べにくい。そこで、お餅に

交ぜ合わせて『肉桂餅』として売り出したところ、大変好評を得たのだそうです。

その後、時は流れて江戸時代の元禄元年(1688)、宗源の子孫が始めた菓子商が

『八百源』です。宗源の逸話に発想を得た『肉桂餅(にっきもち)』を中心に様々な和菓子を

作り、現在まで続く老舗となりました。

 

お店は阪堺『花田口』から5分ほどの所にあり、伝統的な木造建築からも老舗和菓子店

らしい雰囲気。店名より『肉桂餅』の文字が目立つ木製看板が目印です。

やや狭い店内には、『肉桂餅』『肉桂楽(にっきらく)』『肉桂羊羹(にっきようかん)』『南蛮小判』

などのお菓子と、それらに交じってシナモンスティックが並んでいました。

 

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▲堺では長崎よりも先にカステラが作られていたのだとか

 

 

肉桂使用の和菓子中心に様々な商品

季節限定のお菓子もあり

 

今回紹介するのは、文字通りの看板商品『肉桂餅』(5ヶ入 1,150円)と、現6代目店主・

岡田功さんが考案したシナモン風味のカステラ『肉桂楽』(1本 945円)。

 

肉桂楽は「堺ならではのカステラを作りたくて」と言う岡田さんによる、堺ならでは、そして

同店ならではの商品です。一般的なカステラの黄色い部分がやや黒っぽく、食べるとほどよく

シナモンの風味がするお菓子でした。

 

本命の肉桂餅は、求肥(ぎゅうひ=和菓子に使われるやわらかいお餅)にシナモンを混ぜて

小豆のこしあんを包んだ3センチほどの丸いお菓子。まぶし粉の下の本体はシナモンを

思わせる濃い茶色です。食べてみるとやわらかい食感で、とろけるように甘みとシナモンの

風味が口の中に広がりました。後味がさっぱりしているのでついつい手が伸びてしまいます。

 

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▲正確には、肉桂とシナモンは近縁の別種だそうです

 

ところで、シナモンはもともと薬として輸入されていました。冷え性や肩こり、風邪に効くほか、

脳の働きを良くする効果もあるんだそうです。

『肉桂餅』みたいなおいしい薬だったら大歓迎ですね。

 

 

 

八百源来弘堂(やおげん らいこうどう)

住所:堺市堺区車之町東2-1-11

電話:072-232-3835

営業時間:9:0017:00

定休日:日曜日、月曜日